レトロゲーム小話4『ロトの剣が最強じゃない…』
ロトの剣が最強だと信じていた
『ロトの剣』はずっと持っていた。
私は信じていたのである。
FC版ドラゴンクエストⅡの話である。
ドラクエⅠの続編であり、前作を死ぬほどプレイした私にとって、ロトの名前を持つ武器は、大きいものであった。
アレフガルドを支配しようとした、あの竜王を倒した剣である。
しかもロトの鎧や盾、兜といった防具は最強である。
なにもないわけがない!
ちょっとしたトラブルから、ドラクエⅡのプレイは後発組に転落した私だったが、『ロトの剣』には、絶対になにか秘密があると思っていた。
周りでは普通にクリアという連中がいるなかで、モチベーションを落とさずにプレイできたのも『ロトの剣』の秘密がまだ暴かれていない、という私の勝手な洞察力があったからである。
そもそも『いなずまの剣』てなに?
当時、ネットも携帯電話ない。
情報といえばゲーム雑誌などの本と、実際にドラクエⅡを購入してプレイしている友人からの話だけである。
ロンダルキアの洞窟に『いなずまの剣』が落ちていて、それが最強の剣であるという話にはなっていた。
正直なところ、『いなずまの剣』てなに? というのが感想であった。
誰が作ったとか、誰が装備していて、どんな伝説、由来があるのか…そういう話はなく、プレイしていても『いなずまの剣』に関する情報は、ほとんどなかった。
ドラクエⅠの時のような、かつて勇者ロトが使ったとされるロトの剣を手に入れるワクワク感、高揚感のようなものはなかった。
『いなずまの剣』を手に入れた時より、ロトの剣を手に入れた時のほうが、思い入れがある分、感動した。
結局…
ロトの剣にはなにもなかった。
先祖より受け継がれ、二度も世界を救った剣は、ドラクエⅡの時代になって、昔は強かった、ただの古い、強い剣に成れ果ててしまったのである。
世界各地を回り、怪しいところは調べ、ロトの剣を装備していたら、なにか違う情報が聞けるかもしれないと、奮闘した私の努力は無駄に終わってしまったのである。
…とはいえ、私はまだ『いなずまの剣』に納得しているわけではないからな!
せめてロトの剣を、サマルトリア王子が装備できたら……
唯一の拠り所……
小説版ドラゴンクエストⅡでは、いなずまの剣が持つ力をロトの剣が吸収して、ロトの剣があらたな『いなずまの剣』となるエピソードがある。
これだよ、これ…私が求めていたのは、こういうエピソードだよ!
勇者ロトの子孫が、弱いし荷物になるので、ロトの剣を二束三文で売り払う、という行為そのものが嫌だったのである。
ドラクエ好き、特にロトシリーズ三部作が好きだという奴はたくさんいるが、先祖より受け継がれてきたロトの剣を売り払った奴が大半だろう。
それで本当にドラクエ好きといえるかな……
理由はともあれ、最後までロトの剣を売らずにもっていたことは、ひそかな誇りでもある。
悪しき存在を予見した勇者ロトの子孫たちが、その力を結集して『いなずまの剣』を作った…みたいなエピソードがあれば、もう少し納得したんだろうけど……
勇者はデイン系の呪文が使えるし……
おわり
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