ゲーム回想記8 ~FC版ファイナルファンジー/EP3 絶望、そして封印……~

2023年1月11日

悪夢再び……

エルフの王子を助けると神秘の鍵が手に入り、幾つかの装備と資金が手に入った。

エルフの町で購入した『ミスリルソード』が優秀で、赤魔術士ふたりの武器が変わることはなかった。

手に入れたアイテムはすべて、売り払ってお金に変えた。

その資金も、次のメルモンドの町にたどり着くことによって、底をつく事になる。

5レベル魔法である。

一つ8000ギル。
魔法の種類によっては、クラスチェンジをしなければ覚えられないものがあり、その分だけ助かったという感じではあった。それでも…

5レベル魔法8000×3種類×2人分=48000ギル
5レベル魔法8000×2種類×2人分=32000ギル(白黒一つずつ、赤魔術士用)

合計80000ギル

赤魔術士が覚えられる黒魔法『ラスロウ』というものがあったが、敵の素早さを下げるという、当時の私にはピンとこない効果だったので『ファイガ』だけ購入を考えたのである。

それでも80000ギルという金額を稼がなければならない。

他の装備に関しては白、黒魔術士用の『ぎんのうでわ』(5000×2)くらいだったが、それは神秘の鍵を使って手に入れたアイテムを売り払ったお金で買うことができた。

それ以上に問題になったのは、相変わらずの赤魔術士の打たれ弱さである。
鎧も最初の街で購入した『くさりかたびら』のままであった。

まともに戦闘していては、洞窟の奥深くまで回復魔法が持たない。

モンスターのクリティカルヒットで運が悪ければ即死するのも継続中である。

赤魔術士の説明も『剣も魔法も使えるスペシャリスト』であり『体力がある』『強力な防具身に着けられる』とは書いていなかった……

土のカオス『リッチ』を討伐……

状況としては船を手に入れたぐらいの頃と変わらない。

武器の命中率が多少良いだけである。

そのため、魔法の温存が必要であり、洞窟探索などではポーションに頼るしかない。しかし、メルモンドの町には道具屋がないため、その都度、ポーションもエルフの町へ買い出しにいかなければならなかった。

今考えると、なぜこんな便利の悪い仕様にしたのか謎ではあるが……。

唯一の救いは、アースの洞窟B1に必ずエンカウントするゾーンがあり、全力で戦う必要はあるが、高額モンスターがよく出てくれるので、お金を貯めるのはそこまで苦労しなかったことである。

洞窟の前で『ねぶくろ』でセーブし、ある程度戦ったら、洞窟の外へ出てセーブするという感じである。

すべての魔法を買い揃えられる頃には「赤赤白黒という編成」とはいえ、かなり強くなっていた。

アースの洞窟にいるボス『ヴァンパイア』だけではなく、土のカオス『リッチ』ですら、あっさりと討伐することができた。

白魔術師以外の3人が『リッチ』の弱点である炎の最強魔法『ファイガ』を使えるので、2ターンくらいで終わった。

やっとクリスタルの輝きを一つ取り戻した。

起死回生を狙い……

次のメルモンドの町へ進むと、戦闘はさらに過酷なものになった。魔法を使ってモンスターを早く倒さないと、すぐに死んでしまうのだ。

前衛も後衛も関係がない。

クリティカルヒットされると、誰かが死ぬ…そんな状態であった。

前衛二人の赤魔術士に『ミスリルメイル』という新しい鎧と『バックラー』盾が追加されたが、劇的に防御力が高くなるというものでもなかった。

頭と小手は、初期のままであった。

とてもこのままでは、火のカオス『マリリス』がいる『グルグ火山』には挑めない。

唯一の希望はクラスチェンジであった。

メルモンドの町で貰える『カヌー』は、船から川へと漕ぎ出せるため、火のカオスと戦う前にクラスチェンジをすることができるのである。

扱いとしては裏技であり、雑誌の裏技コーナーに掲載されていた。

今のままでは無理だ…

クラスチェンジをするしかない!

クラスチェンジが出来れば、使える魔法のレベルも上がるし、使えなかった魔法も使えるようになる。

ちなみにクレセントレイクの町で売っている6レベル魔法は一つ20000ギル。

クラスチェンジすれば赤魔道士も3つ覚えられるので、

従来の計算通り

6レベル魔法20000×3種類×4人分=240000ギルである。

当時の私は小学6年生。

それなりにRPGもプレイしてきたが、240000などというような金額が必要になった経験は一度もなかった。

魔法のことは別としても…クラスチェンジするためには

『飛空挺』を手に入れなければならないので、その過程で強い装備やお金も手に入る。

私は起死回生の策として、クラスチェンジに賭けたのであった。

成功と絶望、そして封印……

無謀な賭けではあった。

ボスを一つ飛ばすした場所へ行くということは、レベルがまったく足りていないことを表していた。

しかも『赤赤白黒』という、おそらく初見プレイではまずやらないと思われる魔法系のパーティー編成である。

最初からやり直して、戦士を入れたパーティーにするという考えもよぎらなかった訳ではない。

だが、ここに至るまでにかかった膨大な資金集めのための時間が、それを躊躇わせたのだった。

氷の洞窟への挑戦。

モンスターが出てきたら、基本、逃げる。

遭遇するモンスター全てが、異常に強く見えた。

攻撃を受けるだけで死ぬことも多く、唯一生き返らせることができる『レイズ』の魔法だけが頼りだった。

つまり、白魔術士が死ぬと即リセットである。

モンスターとの遭遇を報せるとサウンドが怖い。

コントローラーを持つ手が震えた。

一歩、一歩、わざとゆっくり歩くことさえあった。

ゲーム雑誌の攻略記事に掲載されていた氷の洞窟のマップだけが頼りだった。
階段と落とし穴の位置関係、宝箱の位置とアイテムが掲載されている…落とし穴落ちるギミックがあるため、間違いは絶対に許されない。 

最短ルートを書き込み、それを頼りに何度も確認しながら進んだ。

『浮遊石」 の入った宝箱へとたどり着く。

それを守るモンスター『ビホルダー』との戦い

使える最大Lvの魔法を駆使し、全力で戦った。

『ブレイク』や『デス』といった、一撃で殺してくる恐ろしい魔法を使ってきたが、幸いにも効かなかった。

私はビホルダーを倒した。

宝箱を開いて、浮遊石を手に入れる。
私は嬉しくて、思わず後ろにひっくり返った。

一瞬の出来事

手に握られているコントローラー。

賢明な方はお気づきであろう。

ファミコンのコントーローラーのコードは、それほどの長くないのである。

コントローラーに勢いよく引っ張られたコードは、ファミコン本体を浮かせるようにして、跳ねさせ、揺らした。

そして、止まった。

私も……。

セーブデータは消えていなかった。

氷の洞窟の入口からスタート。

もう一度、あの恐怖に挑む勇気が、当時の私には無かった。

私はファイナルファンタジーを封印した。

見たくも無かった。

クリアすることはないだろうと思われた。

つづく

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