ゲーム回想記6 ~FC版ファイナルファンジー/EP1終わらない旅の始まり~
注目していたソフトは……
「ゲゲゲの鬼太郎2~妖怪軍団の挑戦~」
欲しかったのはこのソフトであった。
ファイナルファンタジーを購入する予定は、まったく無かった。
数奇な運命によって、出会ったソフトである。
ゲゲゲの鬼太郎は有名な作品であることは説明するまでもないだろう。
前作のアクションゲームもプレイしており、それなりに楽しんでいた。
ドラゴンクエスト以降、私はRPGというジャンルに相当入れ込んでいた。
ゲゲゲの鬼太郎2がRPGということで、かなり期待しているソフトであった。
母親も、ゲゲゲの鬼太郎なら知っているという事もあり、買ってくれることになった。
まさかの発売延期…
発売日当日。
意気揚々と玩具店に行ってみると、ゲゲゲの鬼太郎2のソフトが無い。
ネームバリューもあるし、ゲーム雑誌でも特集が組まれるなど、かなり大きな扱いをされていた。
入荷していないという事は、考えにくい。
思い浮かんだのは、売り切れという文字であった。
母親にもその事を話して、二、三軒、ファミコンソフトを扱っている玩具店を回った。
だが、何処にも、置いていなかった。
時間だけが、過ぎていった……。
母親も、夕食の支度などがあるので、いつまでも子供の買い物に付き合ってはいられない。
「次の機会にしたら…」と言ってくる。
次の機会など無い
そんなことは子供ならよくわかっている。
母親は、できれば高価なファミコンソフトなど買いたくはないのだ。
今日買って貰わなければ、クリスマスや誕生日といったイベントがある日まで、延ばされてしまうのは目に見えている。
「次の店で決めるから……」
そう言って、私は母親を説得した。
【ゲゲゲの鬼太郎2は、発売延期になりました】
次に入った玩具店。
ファミコンソフトを陳列してあるガラスケースに、そう書いて張りつけてあった。
ソフトの発売が延期になる。
そんなことは、初めてであった。
予想すらしていなかった。
発売延期ならいくら探し回っても、見つかるはずがない。
しかし。
ここで買わなければ、次は無い。
当時の私はまだ小学生。
母親に対して、発売延期になったからといって、発売日まで待って貰えるほどの権力はない。
陳列ケースの一番目立つ所に、白い箱。
恐い雰囲気の男が、剣を横に構えているパッケージイラスト。
『ファイルナルファンタジー』
私は指を差して、言った。
「これください……」
雑誌の解説を信用して…
気分は優れなかった。
私としてはやはり『ゲゲゲ鬼太郎2』が欲しかったのである。
このままでは買って貰えないから、目の前に陳列されているソフトを選んだ……
家に帰って、ファミコンの電源を入れて初めて『ゲーム雑誌で大きく取り扱われていたソフト』だという事に気づいたのである。
偶然にも、私の入れ込んでいるRPGというジャンルであった。
それぐらいノーマークのソフトであった。
カタカナ表記が多かったので、難しそうという先入観もあったと思われた。
そもそも『ファイナルファンタジー』の意味すら、判らなかった。
始めてみると、四人編成で、それぞれ職業を選べるらしい。
モンクやシーフといった、当時小学生だった私には、聞き慣れない単語もある。
私はゲーム雑誌を引っ張り出してきて、職業の説明を読んだ。
戦士・力も体力も強く、様々な武器を使いこなす戦闘のプロ。
赤魔術士・力も体力もそこそこあり、知力も高い。剣も魔法も使いこなす、スペシャリスト。
な~んだ、それなら剣と魔法の両方が使える赤魔術士でいいや。
戦士いらねぇ……。
私のパーティ編成は
「赤魔術士」「赤魔術士」「白魔術士」「黒魔術士」
に決まったのである。
初代ファイナルファンタジーを知っている人であれば、行く末がどういう事になるか、予想はつくと思われる。
ゲーム雑誌の紹介記事をそのまま鵜呑みしてしまう程、当時の私が純粋であったともいえるだろう。
これが長きに渡る旅の始まり……
当初は、この編成で何の問題も無かった。
魔法を購入しなければならないというのには驚いたが、それがのちに大いなる災いになるとまでは、まったく思わなかった。
むしろサイドビューによる戦闘画面…特に装備する武器によってグラフィックが変わることに、感動した。
正面から見るドラゴンクエストの戦闘画面ぐらいしか知らなかっただけに目からウロコが落ちたような衝撃があった。
王女様を連れ去ったガーランドを倒し連れ戻し、次の町へ行くための橋が架かる。
その橋を渡ろうすると始まるオープニング。
その演出に、気分はもう光の戦士。
どんな困難があっても、必ず4つのクリスタルに輝きを取り戻してみせると、心に誓っていた。
つづく……
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