ゲーム回想記1 ~ドラゴンクエストの呪い~

2023年1月11日

ドラゴンクエスト。
そのプレイしている画面を見た時の衝撃を、今も忘れてはいない。
そしてその時から、私は呪われたといっても過言ではない。

ドラゴンクエストというのは、ご存知のかたも多いと思うが、1986年5月にENIX(現・SOQUARE_ENIX)から発売されたファミコン用のゲームソフトである。

当時の私は小学5年生。
友人Aによって、私はドラクエの存在を知らされた。
そしてそれは、自分が勇者になるということがどいうことなのかを、知ってしまったのである!

ドラクエに関しては、週刊ジャンプという漫画雑誌で特集を組まれていたが、当時の私はそこまで注目していなかった。だが……

なんとしても欲しい!

もちろん小学生の私に買える資金力はない。
親に頼むしかないのだが、ファミコンのソフトは4~5000円と高価なものであり、誕生日やクリスマスといった季節のイベントでもない限り、買って貰うことはできなかった。

そこで私は最終手段に打って出た。
1ヵ月以上先の誕生日プレゼントの代わりに買って貰うことにしたのである。それにしたって、そう簡単に母親が首を縦に振るわけがない。

さんざん強請り倒したあげく
「みんな持ってるから……」
というのが、殺し文句だったような気がする。

これが最初の間違いであった。
このほんの小さな間違いが、すべてを捨ててゲームに生きるという人生の選択のきっかけになってしまったのである。

ドラクエすでに発売日から1ヵ月以上過ぎていたため、ソフト自体はすんなり購入することができた。

攻略情報も友人に聞けば教えて貰えたので、2週間ぐらいで、最後のボスである竜王を倒すことは出来た。

そんなある日。
ドラクエを初めて私に見せてくれた友人Aが、レミーラの呪文を使わずに、竜王の元まで辿りついた。

ファミコン版のドラクエは、ダンジョンに入ると松明、もしくはレミーラという呪文を使って、周囲を明るくしなければ、主人公しか表示されなかった。周囲を明るくしなければ道がどうなっているかすら、確認できないのである。

友人Aは、竜王がいる場所までのルートを暗記し、壁に当たって進めなくなると出る「ドンドン」という音だけを頼りに竜王まで辿り着いたのである。

凄いだろとばかりに勝ち誇る友人A。
私は誉め称えながらも、内心、悔しかった。

国語や算数のテストでその友人Aに負けたことは無かった。他のゲームでだって、ここまで負けを認めざる状況に追い込まれたことはなかった。

私は奮起した!

算数ノート(方眼の入ったノート)にダンジョンを書き写し、必死で暗記した。三日後には、ロトの剣を取って竜王まで辿りつけるようになった。

それを見た友人Aも負けじと、岩山の洞窟(ラダトームの町から西にある洞窟)を暗記した。ならばと私もガライの洞窟を暗記してこれに対抗。いつの間にか二人共、全てのダンジョンを暗記していた。

今度はいかに低レベルで竜王を倒せるかという争いへとシフトした。果ては装備を一切しないで竜王を倒すところにまで発展した。(一度武器防具を装備すると購入することによって装備の変更は出来ても、外すことは出来ないシステムであった)

この熾烈な争いは、半年ほど続いた。

繰り返すようだが、同時の私は小学生なので、新作が出たからすぐに買えるわけではない。
ドラクエのようなメジャーなソフトは、みんなが持っているという理由から、ソフトの交換による貸し借りも出来ないため、長く遊ぶしかなかった。

そろそろドラクエも遊び尽くし始めた頃、別の友人から、とある復活の呪文を入手した。(当時は復活の呪文というパスワードによって、主人公のLvや装備を記憶していた)

友人Aの家に遊びにいった時、机の引き出しのなかにあった復活の呪文を、隙を見て書き写したらしい。

家に帰ってその復活の呪文を入力し、ドラクエを始めた時、私は狂喜乱舞した。

この勝負、私の勝ちだと確信した。

主人公の名前が、友人Aが好きではないかと噂されていた女子の名前が入っていたのである!

しかもLv30(最大LV)であった。
決定的だった。
私はその復活の呪文を暗記した。学校で、算盤塾で、親しい友人たちに入手した復活の呪文のことを話しまくった。

その後のことは言うまでもない。

小学5年生という女子に興味を持ち始める年齢であり、本人がどんなに否定しようが、公然の事実として噂は広まっていった。それこそドラクエを持っている女子からもその復活の呪文について聞かれることがあった。

戦いは終わった。
私は勝利したのである。

「こすみらざ たすむによられ れぼねぞづ ◯◯◯」

これがその復活の呪文である。
ファミコン版なら出来るはずである。

そして、四十を過ぎた今も、私の脳裏に焼きついて、忘れられない。
限りある貴重な脳細胞の一画を、この復活の呪文が占有している。

呪いのように……

※復活の呪文の一部は名誉のために、伏せさせていただきます。

(by.Wicca)

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